リチャード・ブローティガン「不運な女」。

不運な女

不運な女

感想は、難しい。訳者のよるあとがきでも納得できなかった。「引力の影響を受けない」とあるけれど、そうは思えない。
ブローティガンって今まで読んだことがなくって、他がどんな作風なのか知らないんだ。
この本、「不運な女」だけど、
最初と最後にエウリピデスの引用があり、プロローグには癌で死んだ友達のことが書いてある。
そのあと、物語は始まり、冒頭で旅行の行き先と日程、それと、首を吊った女について述べられている。
結局最後まで、首を吊った女については、何の説明もない。語り手は、何やらその事実から逃げたがっているようだ。
ホノルルからアラスカから、その他色々、仕事がてら移動を続けた語り手。そのときの思い出や、その後の日常やら、場所も時間もあちこち飛びながら、ただ思いつくままに話は意図的に逸れていく。


リチャード、何が言いたいんだ?


不運な女はそのままにされ、作者も死んでしまったから、読み手には、いつまでたっても不運な女は、何が不運だったのかわからぬ仕舞いに放って置かれるのだ。迷惑なことである。

書店のレヴュー

作者が1984年にピストル自殺をした後、遺品の中から発見された遺作。◆首吊り自殺をした女性との記憶とともに、アメリカ各地を旅行した男が語り手。死者について語ろうとしては幾度も話はそれ、日常を思いつくがままに書き連ねてしまう。飄々と生きているようでも、自身の奥底には、暗闇を抱えているのか、そこから逃れようとしているのか。不運な女は置き去りにされ、今もぶら下がったままなのか。06/09/06★★★