荻原浩「押入れのちよ」。

押入れのちよ

押入れのちよ

一つ目のお話「お母さまのロシアのスープ」のオチが何となく不快だったので(これをホラーにするのは不謹慎じゃないでしょうか。どうなの?)、ちょっと引き気味で読みましたが、せつな系の話もチラホラで、トータルではまあまあ。
良かったのは、「押入れのちよ」「木下闇」「しんちゃんの自転車」かな。
「介護の鬼」「殺意のレシピ」「予期せぬ訪問者」あたりでブラックユーモアが続いていたのは、辟易しちゃいました。なんだかな〜笑えばいいポイントかも知れないけど笑えないな。


ああ、そういえば荻原さんって、節約という名のケチって設定が好きなのね。何回も出てきたわ。

書店のレヴュー

超格安で借りた部屋には先住人がいた・・・ちょっとホラーな短編が9作。◆幽霊物だったり、ブラックユーモアだったり、おぞましい話なんだけど、どこか笑える、あるいは切ない。そんな短編ばかり。表題作「押入れのちよ」は、押入れの中から毎夜現れる幽霊の少女と交流してしまった失業男の話。ちよの哀れな身の上と、主人公の情けなさが交差する人情話。一番の恐怖「老猫」は、叔父が遺した洋館に住むことになった主人公が、家付きの老猫に陥れられる話。隠微に生臭い。「しんちゃんの自転車」は、少年と少女が深夜に池のほこらへ探検に行く話。自転車に二人乗りして行ったほのぼのした思い出話と思いきや、実は・・・06/09/23 ★★★