アリステア・マクラウド「彼方なる歌に耳を澄ませよ」。

彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス)

彼方なる歌に耳を澄ませよ (新潮クレスト・ブックス)

読むのに時間がかかったけど、良い本でした。感動しました。
良いことも悪いこともまとめて受け入れてくれるのが、本来家族のあるべき姿なのかと。
(…なかなか出来ないんですけど。私なんか駄目っぽいよ。私と兄ね。)


スコットランドとカナダの歴史について予備知識があったほうが、より楽しめたかもしれない。本の中の会話だけだとほとんど理解できなかったけれど、訳者あとがきにわかりやすく解説がありました。ここを先に読んでおけばよかったな。
で、もとのタイトルが「No Great Mischief」って、いったい。とある引用なんだけどね。
このタイトルを日本語訳して持ってきていたら、読まなかったかもしれないな〜と思いましたわ。

書店のレヴュー

カナダ東部を舞台に淡々と語られる一族の歴史。その積み重ねが、最後に大きな感動をもたらすのだ。◆アレグザンダーは矯正歯科医で裕福な暮らしをしている。彼は週末になると400kmの道程をドライブして兄に会いに行く。兄はアルコール浸りの生活。なぜアレグザンダーは兄に会いに行くのか。それは終盤になるまでわからない。途中語られるのは、18世紀末、スコットランドからカナダ東端の島に移住した一人の男、赤毛のキャラム・ルーアの一族の歴史、ハイランダースコットランド高地人)の歴史、そして初代のキャラムから数えて6代目にあたるアレグザンダーの家族の記憶である。「血は水より濃い」…不幸な出来事も降りかかる中、似通った外見(赤毛など)の彼らの絆は強く、子々孫々伝えられる確固たる生き方はいつの代にも変わらない。暖かい息づかいに包まれた記憶が、ひどく懐かしく感じられる。今を生きる私たちが忘れてしまったものを変わらず持ち続ける人々がそこにいるのだ。ラストは静かな感動をもたらしてくれる佳作である。06/09/27