有川浩「海の底」。

海の底

海の底

面白かった!
横須賀に巨大ザリガニの群れが押し寄せて人を食らい、それを駆除する話なんだけどね。
地上では、機動隊が悪戦苦闘し、その後自衛隊が出て、あっという間に解決、と、こちらの駆け引きも、まあ良かった。
しかし、潜水艦に取り残された子どもらの話のほうが俄然惹かれましたね。
登場人物も魅力的で、大人で隊員の冬原・夏木コンビ、望・翔の姉弟、そして私の中の一番人気は遠藤圭介君だね。
圭介君は、最初、というか艦外に救助される寸前まで、ライダーキックしたいぐらい超いやらしいガキで、威張り放題、嫌がらせし放題の困った奴なんだよね。
それというのも、母親のスポイルのせいなんだけど、この母親が又町内会で嫌がらせし放題のトンデモおばさん。で、この後、圭介君は母親が間違っていることに気付いてしまうんだ。結果、母親を捨ててしまう。
…なんだか哀れな母親。ま、自業自得か。
大人がちゃんとしていれば、子どもは正しい道を見つけられる。それが他人でも、だ。私もちゃんとしなくっちゃ。ああ、でも、こんな恐ろしいおばさんが近所にいたら、気の弱い私はとても太刀打ちできないかも。

書店のレヴュー

横須賀に巨大甲殻類の大群が現れ、人々は次々に襲われ食われた。6日間に及ぶ敵と機動隊の攻防と、潜水艦に取り残された13人の子どもと2人の乗組員のドラマ。◆横須賀に巨大ザリガニの大群来襲です。「アホらしい」と思われる方もいるでしょう。私も唐突にザリガニが現れたときは唖然としてしまいました。それにめげず読み進めると、次第にそんな馬鹿げた設定のことなどどうでも良くなってしまうから不思議。苦戦を強いられる機動隊の悲惨さ、自衛隊を出せない「日本」という国に対するもどかしさ、そして何より、潜水艦の中で繰り広げられる子ども達と乗組員の人間模様が何とも魅力的な作品となっています。最後にある事件から5年後のエピソードも笑えますよ。06/09/29★★★★