「夜市」恒川光太郎。

夜市

夜市

3月に図書館に予約して、ようやく読めました。
いや〜待ったかいがありました。これはツボに入りましたよ。
この独特な世界観、なんて魅力的なんでしょう。あっという間に読み終わっちゃって、残念至極、もっとこの世界のこと、聞かせて!と思いました。
第12回日本ホラー小説大賞受賞作ですが、ホラーというより、日本的ファンタジーですね。


「夜市」は、
子どもの時に夜市に迷い込み出られなくなった時、人攫いに弟を売ってしまった裕司が、10年経って弟を買い戻そうとする話。
弟を売った兄、売られた弟。二人のそれぞれの10年の物語が切ない。


「風の古道」は、
友だちカズキと一緒に「古道」に迷い込んだ少年が、現世に戻るまでの話。
永久放浪者レンと出会い、助けてもらいながら出口に行こうとしたときトラブルに巻き込まれ、カズキが死んでしまう。カズキを生き返らせようと「雨の寺」を探すことに。
道々語られるレンの身の上話が、これまた切ない。


次回作ももう出ているようなので、これは絶対読まねば。またこの手の話だとうれしいぞ。

書店のレヴュー

大学生のいずみは、高校の同級生裕司に「夜市」に誘われた。それは異世界をまたいで開催される不思議な市で、「若さ」「自由」「才能」など、望む物は何でも手に入れられるという。が、買い物をしなければ決して元の世界に戻ることは出来ない…◆どこかノスタルジックな幻想的な雰囲気。妖怪や化け物など、人でないものが登場し、この世と異世界を行き来する。その独特で魅力的な世界観は完成されていて、それは同時収録の「風の古道」にも共通している。悲しく切ないストーリーも、無駄のない文章のせいか押し付けがましくない。第12回日本ホラー小説大賞受賞、直木賞候補にもなった本作はデビュー作品。今後も期待大。又この世界観でお願いします。06/11/19