「不恰好な朝の馬」井上荒野。
- 作者: 井上荒野
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/31
- メディア: 単行本
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主役が交代する短編連作集で、それぞれどこかしら登場人物がリンクしている、という作り。
普通に生きていているつもりだったのに、どこか澱んだような部分があって、それを何とかしたいんだけど、なんとかってどうしたらいいんだろう〜と思う事ってあるわけで。
「不恰好な朝の馬」
何度も繰り返される夫哲雄の浮気に、やっと別れる決心をした妻菊江。そんな両親の変化を感じ取った娘が、早朝公園に造り上げた馬のオブジェ。
「クリームソーダ」
ルイは妻子ある美術教師ヤノと不倫中。顔も覚えていない父親が危篤になり…
「額縁の馬」
喫茶店の経営者千早は婚約者が失踪して14年。未だ婚約者の両親と不自然な交流がある。
「鹿田温泉」
二十数年前に別れた妻との子の結婚式に出席することになった哲雄。出席したいのかしたくないのか、旅路の中で葛藤する。
「スケッチ」
夫に去られた妻真砂子は、団地の風景をスケッチし始める。
「虫」
出会い系サイトで知り合い一回だけ会った女が自殺したのではないか、と怯える近藤。「あのとき〜こうしていれば」と騒ぐ虫を飼っている。
「初夏のペリメニ」
夫が昔の婚約者に会っているのではないか、と妄想する妻瑤子。秘かに元婚約者の顔を見に行く事に。
盛り上がりの少ない地味な昼ドラチックで、うだうだした話ばかりなんだけど、大抵の人はうだうだしているものなんだろうな〜だからこれは一見非現実的な昼ドラのようでいて、実は平凡な人たちだったりするのではないかと。
好きなのは、「額縁の犬」「虫」「初夏のペリメニ」の流れ。あの人とあの人がこんな事になるなんて、意外と人生は不思議が満ち溢れてるのかも。
書店のレヴュー
繰り返される夫の浮気。今やっと別れる決心をした主婦の話表題作「不恰好な朝の馬」を含む7つの連作短編集。◆団地と小さな喫茶店を舞台に、交差する人間関係の中で、新しい一歩を踏み出そうとする人たちばかりが登場する。夫に浮気された妻、妻に別れを切り出された夫、婚約者に逃げられた女、教師と不倫する中学生等々。どうにもならない「今」から抜け出そうと思うことは、実は平凡な日常なのか。◆ただすれ違う見ず知らずの人にだって、それぞれに抱えるものがありドラマがある、ということ。どこか昼ドラ風で、女性向かも。07/01/05★★★