「グールド魚類画帖」リチャード・フラナガン。

グールド魚類画帖

グールド魚類画帖

かれこれ3週間かけてようやく読み終わりました、疲れた。しっかしこの終わり方は、一体。しかも後記に書かれたグールドのプロフィールには愕然としました。
これらを踏まえて、もう一度読み直ししなければいけない、、、もう気力がないよ。
グールドは実在の人物ではあるけれど、本作はあくまでグールドの絵を基にしたフラナガンの創作。その点さえも混乱するのに、作品の世界の中の真実すらあやふやな物にし、読み手を翻弄する技巧には、もう呆れました。(褒めてるんです。)
読みづらかった原因は、やたらとまわりくどい比喩にあるのかと。それが何のイメージなのかつかめない事が多々あり、しかもなんども何が主語かさえわからなくなった。
原書で読めば、韻をふんでるのかも知れず、それができるならば原書がいいね。
というのも、原書では、各章ごとに活字の色が6色使われているらしい。
赤は、かさぶたをはがして出した血、紫は紫ウニの殻の色…と囚人グールドがインク代わりに使ったものの色を再現しているらしい。日本語版では、わずかに黒とセピア(?)のみ。しかしカラーのイラストが入っていて美しい。(で、値段もお高いです、この本。ちょっと買う気にはなれません。)
訳者あとがきに書いてありますが、グールドの絵はここで見ることができます。

あちらに書いたレヴュー

ハメットが古道具屋で見つけたのは一冊の「魚の本」。それは植民地時代、タスマニアに流刑された囚人グールドが書いた魚の挿絵と手記。◆舞台は現在のタスマニア。英国から囚人として送り込まれたグールドの過酷な人生が描かれる。強制労働、拷問、虐殺、薬物、アルコール、腐敗臭。反吐が出そうな情景と、過剰な比喩に何度も怯みながらも、奥深い人物描写に引きつけられてしまった。そして最後には、作者の罠にまんまとはまり…◆グールドは実在した人物で、今も残されている美しい魚のイラストが挿入されていて装丁にも注目。07/01/12