「体の贈り物」レベッカ・ブラウン。

体の贈り物 (新潮文庫)

体の贈り物 (新潮文庫)

又すごい本を読んでしまった。感想書くのが大変。言葉に出来ない。
末期エイズ患者が自宅で生活する補助をするホームケア・ワーカーが主人公。
そして当然のように出会った人たちはみな死んでいってしまう。
死が避けられないのはエイズ患者だけではないので(いずれ誰でも死ぬ)、エイズの話だからといって特別視するのは間違いだろうけど、他の病気でこれほど「死」が絶対的であるものはないんじゃないか?
かすかな望みすらない中でホームケア・ワーカーとして働く主人公の心の機微が、苦しいほどに伝わってくる。全く文字では表されていないというのに。
人が死ぬってどういうことか。考えさせられてしまいました。

書店のレヴュー

ホーム・ケア・ワーカーとしてエイズ患者の手伝いをする「私」が患者との交流を語る。◆「私」が訪れる人々は、闘病の先に必ず死があり、どんなに手を尽くし心をこめてケアしても、生き延びる希望がないのだ。「死」を前提にした出会いに打ちのめされるわけでも絶望するわけでもなく、淡々と細やかな気配りの利いた世話をし、そしてただ寄り添う。そんな仕事をする「私」は、患者たちと触れ合うごとに、かすかな「贈り物」を受け取る。短編集だが、登場人物が重なっていくため長編の趣きで、後半にいくにしたがって「私」の心は微妙に疲弊し変化していく。◆泣ける話でも、感動する話でもなく、もっとその向こう側にある何かに手を伸ばそうとした作品ではないだろうか。「命の尊厳」と言ってしまえばそれまでだが、説教臭さは微塵もない。07/02/09★★★★★