「チョコレートコスモス」恩田陸。

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

これは、面白かった!
恩田陸さんは「夜のピクニック」が一番でしたが、これからはこちらを一番にしたいと思います。
ガラスの仮面」ってキチンと読んだわけじゃないのですが、それっぽい。
天才少女マヤは確か貧乏で不幸だった気がするけど、こちらの天才少女飛鳥は、貧乏でも不幸でもなく、地味な普通の女の子。
その飛鳥が大学に入学後、舞台の奥にある何かを求めて、立ち上げてまもなくの劇団に入り、幸運にも舞台に立ち、認められてオーディションを受け、サラブレッドの響子に出会い「境地」に至る物語。…というのはあくまで飛鳥視点のストーリーですが。
その他多くの登場人物が、そのオーディションに向けて並行してストーリーを作っていくのです。
ま、実際に上演されるまでには至らないところで話は終わってしまうわけですから、そう考えるとむやみに登場人物多すぎかもね。
あ、ということは、もしや続きがあるのでしょうか?期待したいところ。

書店のレヴュー

本能で見るがままを演じることができる天才少女佐々木飛鳥と、演劇一族に生まれ幼い頃から名声を欲しいままにしてきた東響子。同じ舞台に立ったとき、二人は同じ境地を見た…◆演劇には全く縁のない私ですが、この本の持つ臨場感は恐ろしいほどで、実際に舞台を見ているかのような感覚でした。ストーリーは、伝説的監督が数年ぶりにやる事になった舞台の主演女優オーディションの過程。演劇経験はないけれど天才的能力を秘めた飛鳥とサラブレッドの響子が、最後に競演する場面は圧巻です。その他の面々も大変魅力的ですが、特に女優陣は素晴らしい。嫉妬やプライドも凄まじいですが、あくまで上品さを保っていて、一般人が夢見るような世界を造り上げている感じがします。終わり方も、中途半端に気が抜けてしまっていないところが良いですね。続編はどうするんでしょう?あったら大変なことになりそう。07/02/19★★★★