「金春屋ゴメス」西條奈加。

金春屋ゴメス

金春屋ゴメス

この本、以前から気になっていたんですけど、たまたま図書館にあったのでやっと読めた次第で。
「きんしゅんや」かと思ってたら「こんぱるや」っていうんだ〜このタイトル、と思いつつ読み始めました。
時代物、かと思ったらSFじゃん。なんだなんだ?とページをめくっていったれば…
いや〜面白かったよ。一気読み。続編も読まないとね。
それにしても表紙はいったいなんでしょう?高倉健風男がケータイ使ってるように見えますけど、そんな場面は全然ないよ。っていうか、間違ってる?
舞台設定は突飛だけど、ストーリーは意外と普通かも。思い切ってこの誤った表紙なようなことをしてみたら、もっと面白いことになるんじゃないかな。
あと「ゴメス」が人間離れした容貌らしいんだけど、描写があまりにも人間から離れすぎて想像すらできなくて、かえってリアルさがない(笑)。表題にするほど出番もない気が。もっと派手に活躍して欲しかった。
でも新人でこの出来はすごいよ。今後に期待。

書店のレヴュー

時代は近未来、月に人が住むころ。北関東から東北にかけての一帯が「江戸」を名乗り独立国家をした。そこで起きた謎の疫病「鬼赤痢」を巡るSF時代劇風ミステリー。◆第17回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。設定が面白いです。一切の現代的なものを排除して懐古主義に暮らす江戸国は、科学が発達した今の時代で人が自然に自由に生きることが出来ない状況を揶揄してるのでしょうか。「便利」を手放した登場人物たちの健やかさが印象的です。といっても悪人もいて事件も起こるんですけど。そのあたりは普通の時代物推理小説と同じです。一気に読める読みやすさがよかった。07/02/21★★★