「黄色い雨」フリオ・リャマサーレス。

黄色い雨

黄色い雨

作者はスペインの詩人だそうで。
段落の頭で一文字分下げるところを、一文字上げている、あたりが詩人らしい?最初のうちは異様に思えたけれど、読み進めると違和感はなくなりました。
第一章の文章全てが、「〜だろう」で結んでいて、これまた異様な雰囲気。老人が一人で住む村に、武装した男たちが緊張感を漂わせながら近づいてくる描写。
何がいったい起きたのか。
ドキドキ。
読んでみれば決してサスペンスなどではなく。
一般うけはしそうもない非常に美しい純文学作品でありました。

書店のレヴュー

黄色い雨に打たれ、何もかもが朽ちていく中でひとりの老人が死と対峙する。◆崖にしがみつくように建つアイニェーリェ村。冬は雪に埋もれるこの村の暮らしは貧しく、住民は相次いで村を離れていった。取り残されたように住み続ける老夫婦。やがて妻サビーナは寂しさに耐え切れず死んだ。一人残された老人は、雌犬と共に朽ち果てていく村の様を日々眺め、死者の亡霊と思い出に取り付かれながらひっそりと死んでいく。◆老人が孤独の中で死を迎え入れる情景を描く作品だが、決然として美しくもある。何度も生命の危機に遭い、狂気に忍び寄られても、老人は恐怖と戦い死期を待ち続けるのだ。作者はスペインの詩人。秋の枯葉の舞う情景の寂寥や、冬の雪に閉ざされた閉塞感が迫ってくるようで実にリアル。07/03/22 ★★★