「紙魚家崩壊」北村薫。

紙魚家崩壊 九つの謎

紙魚家崩壊 九つの謎

てんでバラバラな風だけど、なぜかまとまり感のある短編集でありました。
9つの短編のうち、8つが90年代の作品。最後の「新釈おとぎばなし」だけが若干新しいのね。で、この「新釈〜」が一番面白かった。北村さんの博学ぶりを大開放。

書店のレビュー

不思議な味わいの短編ミステリ9作を収録。◆「溶けていく」はホラータッチ。身近に潜んでいた狂気に取り付かれる女性の話。「紙魚家崩壊」「死と密室」は「両手が恋をしている女と探偵シリーズ」で、ミステリ好きを揶揄したシュールな内容。「白い朝」はほのぼのした日常ミステリ。「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」はきのこ雑誌の編集者千春さんの元気なエピソード。「蝶」はある経緯で食事を一緒にした男女の運命論にまつわる会話。「俺の席」はたまたま乗った電車、実は座る人が決まっていたことを知らず…「新釈おとぎばなし」はカチカチ山の新しい解釈をミステリ仕立てで。実は保険金殺人事件だった、という驚く展開に。07/03/24★★★