「きつねのはなし」森見登美彦。

きつねのはなし

きつねのはなし

不思議な話。こういうのは好き。「家守綺譚」に似た雰囲気。もうちょっと恐ろしげ。
「きつねのはなし」
骨董屋でアルバイトを始めた大学生。ある日皿を割ってしまったのがきっかけで、天城という謎の男と取引を始める…
「果実の中の龍」
研究会で知り合った先輩の部屋に通うようになった大学生。先輩の話に心惹かれるものを感じていたが…
「魔」
酒屋の息子の家庭教師を始めた大学生。その近所で通り魔事件が頻発するようになり…
「水神」
祖父の通夜の晩、骨董屋が家宝を届けるという。待つ間、なぜか断水、電気も止まり…


きつね面、胴の長いけもの、竹林の中の屋敷に住む男、骨董屋「芳蓮堂」、4つの幻燈がみせるもの、、、そういう謎な物がリンクして、つながっているようでもあり、全く違う風でもある不思議な話でした。

書店のレヴュー

京都を舞台に、現代の怪異譚が4つ。◆「魔」酒屋の家に家庭教師に行く事になった。そこに行く時迷い込んだ路地の奥できつねに似たけものと出会った。それから町内で通り魔事件が頻発する…◆きつねの面、胴の長いけもの、骨董屋、怪しい取引、などでつながっている風でそうでもないような4つの話は、どれもちょっと恐ろしげで不思議な話ばかり。謎は謎のままに捨て置かれ、世の中には不思議なことがあるのだと思えて、異界の扉が身近に感じられてきた。ホラーというほどではないけれど、背筋がぞくっとする感覚が面白い。京都という街からイメージする和的な感覚が効果的。07/03/30★★★★