「エスケイプ/アブセント」絲山秋子。

エスケイプ/アブセント

エスケイプ/アブセント

盛り上がりも何もない話なんだけど、いい作品だった。
ワタシだって、何やってんだ、自分、といつも思ってるサ。思っている間にドンドン年取るのサ。ラララ〜♪
セクトでもノンセクトラジカルでも、私にしてみれば大差はないんだけど、この二人正臣・和臣にとっては大河の両岸に分かれちゃったくらいの距離だったのか。それ以前に、同じ顔したあいつと離れたい願望があったのだろうけど。で、自分の不在、あいつの不在を思う気持ち、、、双子ってこうなのかな。

書店のレヴュー

大学時代から20年間闘争に明け暮れた人生を歩んできた正臣40歳。9.11事件をTVで見て自分のやってきた事が過激派ゴッコに過ぎなかった事に気付き、今更ながら実家に帰って妹の仕事の手伝いをする事にした。何やってるんだろう、オレ。◆というわけで、新しい仕事に就くまでの猶予期間を勝手に1週間を決めて旅に出た正臣の気ままな旅、がストーリーなのだが、話らしい話はなく、あっけらかんとした思考と京都の風景、人々がいい雰囲気を醸し出している。◆結局意味のない人生なんてないんじゃないか。「アブセント」は正臣の双子の片割れ和臣の話。長年消息不明の状態にあって、互いの不在を思う、和臣サイドの話「エスケイプ」と対になる。07/05/16★★★★