「ロック母」角田光代。

ロック母

ロック母

不快な話ばかり7つの短編集。蒸し暑い日が続く時に読む本じゃないわ。
「ゆうべの神様」は、あとがきで「拙い」と自己評価している作品だけれど、これが一番好きだな〜。若いって感じ。
これと他の作品との違いは、不快な状況を打破すべく不快な対象を「燃やしてしまった」結末と、そうせず甘んじて不快を受け入れてしまう結末、じゃないかと思った。
「燃やしてしまう」ほうが、いかにもフィクションで簡単明瞭だし、そうしないのはあまりに自虐的で疲れるわ。
だからって面白くなかったわけではありませんよ。

書店のレヴュー

川端康成文学賞受賞作「ロック母」を含む7つの短編集。書かれた時期が1992年〜2006年と長期間に及んでいるが、統一感があり、「家・故郷」が嫌いな主人公の話と、海外旅行の出来事の2種に大別できる。どれも不快感が漂うのが共通だ。◆「ゆうべの神様」1992年下半期芥川賞候補作。小さな町に住む女子高生が主人公。毎日食卓がひっくり返される父母の喧嘩を見て育ち、隣近所の噂話に耐える日々。みんな殺したい、壊したい、燃やしてしまいたい…!あとがきで作者本人が「拙い」と語っている本作が出発点で、「ロック母」につながっているのだ。07/08/05★★★