「きみはポラリス」三浦しをん。

きみはポラリス

きみはポラリス

久しぶりに読んだしをんちゃん。面白かった。
恋愛物ですが、ベタベタしていなくて、どこか文学的。
「永遠に完成しない二通の手紙」
幼馴染みの岡田と寺島。惚れっぽい寺島がラブレターを書くのを手伝わされる岡田だが、実は岡田はずっと以前から…。
これはBL。叶えられそうもない岡田の恋、コメディータッチだけどちょっと悲しい。
「裏切らないこと」
夫婦といっても他人。決して裏切ることがないのは血の繋がった身内だけなのか?岡田が少年の頃、隣に住んでいた老夫婦の秘密とは…。
最後の岡田の決意がよい。
「私たちがしたこと」
高校生の頃付き合っていた彼と私の間の秘密。もう彼以外の人を愛する事はない、とわかっていても、彼のことは忘れて生きよう…。
コレが一番のお気に入り。
「夜にあふれるもの」
高校の同級生だった真理子。妊娠を機に様子がおかしくなった、と真理子の夫から連絡が…。
…高校時代、こういう人いました。今はどうしているのやら。
「骨片」
大学卒業後、実家に戻って家業の手伝いをしていた朱鷺子。大学の恩師の訃報を聞き葬儀に駆けつけ…。
こんな幸せを得る選択もあるのだな〜人を愛するというのは最強。
ペーパークラフト
水族館で偶然であった夫の後輩。が、それは偶然ではなかった…。
女は恐ろしい。いい加減な旦那には早く見切りつけてください。
「森を歩く」
同居人の捨松は、定職もなさそうで何をやっているのか謎の存在。結婚するにあたってその謎を解明すべく、捨松を尾行するうはね。たどり着いたのは…。
これはおかしくてハッピー。ホッとします。
「優雅な生活」
同居人の俊明との生活は、先が見えなくて不安。一緒に何かをしたい…突如さよりはロハスに凝りだして…。
これもハッピー。不安は小さいうちに解決するのが長続きのコツかもね。
「春太の毎日」
春太は、最近麻子が男を家に連れてくるようになったのが気に喰わない。オレが一番麻子を愛しているのに…!
これもハッピーだ。春太は実はペットの犬
「冬の一番星」
幼い頃に誘拐されたときの記憶。自分を一番理解してくれたのは、その犯人だけ…。
これは悲しい。もっと違う幸せを見つけてください。
「永遠につづく手紙の最初の一文」
一番最初の話の登場人物、岡田と寺島が高校生の時の思い出。体育館の倉庫に閉じ込められた二人は…。
面白おかしい〜。この恋が叶っちゃったら、私には読めないかも。

書店のレヴュー

2005〜2006年頃に書かれた作品を集めた恋愛短編集。恋愛といっても多種多様ですが、報われない、叶えられない恋の話が多め。「きみはポラリス」という作品はなく、なぜこのタイトルをつけたのかわかりませんが、「ポラリス北極星)」のように輝く君、のことだろうと推測しています。たとえ結ばれずとも君が一番星。◆「私たちがしたこと」巻末の収録一覧によると、自分お題は「王道」。確かにストーリーは昼メロにありがちですが、何気ない会話をしているときの行間に浮かぶ心情がとても辛い。忘れてしまうことが一番の愛情、の悲しいお話。◆一つ目の「永遠に完成しない二通の手紙」は最後の「永遠につづく手紙の最初の一文」と対になる作品ですが、これはBL。ここで引かないで他の作品も読むのが吉ですよ。07/08/18 ★★★★