「烏金」西條奈加。

烏金

烏金

金春屋ゴメスシリーズの西條さんの最新作は、SF設定もなく普通の時代物。金貸し業(主に烏金)を営むお吟の家に居候する事になった浅吉、実は企みがあって…。
烏金とは。
朝、烏がカァーという時間に金を借りそれを元手に商売をして、夕方また烏がカァーという時間には返す。

格差厳しい江戸時代、ひどい飢饉に見舞われ地方はボロボロ、の時分、浅吉は、貧乏人がいつまでたっても借金まみれの生活から逃れられないことを、根本的に解決するため知恵を絞ります。
この辺のくだりが面白い。プライドを捨て、やる気さえあれば、真っ当な方法で破滅生活から抜けられるもんなんだな〜。今の世も同じなんじゃなかろうか。
結末付近の、浅吉の素性が明かされるところが、あまりに説明っぽくってつまらなかった。涙を誘う展開なはずなのに、涙でず。
それと、普通の時代小説の人情話でちょっぴりガッカリいたしました。もっと突飛なやつをお願い。
★★★