「ランナー」あさのあつこ。

ランナー

ランナー

長距離ランナーの高校生が主役だけど、爽やかスポーツ系の話ではありません。うっかり小学生が読んだりしたら、ショックを受けるんじゃなかろうか。
(ネタバレになるので反転しておくが)
作者の意図がどの辺にあるのかわからない。スポーツをやる人間だとて、スポーツに関わる以外の問題を抱えているのは当たり前だろうが、それが重過ぎるのだ。
だから、私にはその部分しか目に入りませんでした。
これはスポーツ物ではなく、幼児虐待の話。
複雑な家族関係がまずあって、その上、母親によって5歳の妹杏樹が虐待を受けるのを目撃してしまう主人公。
で、次の日の記録会では散々の結果に。


ま、そこまではいい。
ところが、そのあと部活をやめ妹を守る生活を始めた主人公に、走るのをやめた理由として『走るのが怖くなったから』って言わせるのはいかがなものかと思った。
母親が妹を殴る蹴るしているのを見てしまった高校生が、記録会で力を出し切れなかったのは、彼がごくごく真っ当な人間だから、でしょう。
その後の対応もどうにもよろしくないし(まあ、高校生のやる事だから仕方がないが)、結末もダメだ。これでは杏樹は全く救われていないし、この後に不安を残しまくりで、最低の読後感。


それでも、どんどんページをめくれたから、面白かったと言えるのか?
★★