「弥勒の月」あさのあつこ。

弥勒の月 (文芸)

弥勒の月 (文芸)

小間物問屋の若おかみが川へ身投げした。が、主人の遠野屋は顔色ひとつ変えない。単なる身投げではない、と気付いた同心の木暮信次郎と岡っ引きの伊佐治は、遠野屋の素性を調べ始める……。


時代物。事件の真相を探る面白さもさることながら、人の弱い心に忍び寄る闇が怖い。
同じ闇を背負った信次郎と遠野屋の緊迫したやり取りが常軌を逸していて、ぞっとした。ただの捕り物帖じゃなかった。
結末は悲しい。遠野屋の過去が重すぎる。続編も読まなくっちゃ。