「東京・地震・たんぽぽ」豊島ミホ。

東京・地震・たんぽぽ

東京・地震・たんぽぽ

去年も大きな地震があった。日本全国どこにいたって地震はある。前の前に住んでた所では、なぜか地元の人が「ここは地震ないよ〜♪」と言っていたけどね。
さて、この本は、東京が震度6強の地震に見舞われた事を想定して、その前後の人々の心の機微を描いた短編集。
人知を超えた出来事に遭遇したことをきっかけに、本心をあからさまにする人たち。とても見事です。
ところどころ登場人物がリンクしていて、それぞれの感情のズレが印象に残ります。特に『くらやみ』の閉じ込められた妻と、『夢を見ていた』の安全なビルの中にいて現実から目をそらす夫。何という残酷さでしょう。