「メタボラ」桐野夏生。

メタボラ

メタボラ

気が付いたら沖縄のジャングルの中を必死に何かから逃げていた記憶喪失の青年ギンジ。
裕福な家で育ったが窮屈さに耐えかね逃亡中の少年アキンツ。
二人が出会い、それぞれに新しい人生を模索するストーリー。


これはキツイ。頑張れどもなかなか希望は見えてこないのだ。
アキンツの場合はもうちょっとこらえ性があればなんとかなりそうなものだけども、如何せんお坊ちゃま育ち世間知らずの子ども。悪人にもなりきれず……。
かたやギンジは、取り戻した過去の記憶が壮絶で……。
P600の本の厚さも全然気にならない。ニートワーキングプア、DV、格差社会その他様々な問題を流れるようにどんどん詰め込んでいて、それが読み応えがあってよかった。
結末は、若干唐突かも?連載の都合かもしれないね。この先二人が幸せになったのかわからないけれども、二人一緒なら大丈夫、と感じさせる終わり方だったと思う。


それにつけても感じるのは、結局「金」なのかな、ということ。労働に見合った対価を得られなかったり、騙されたりで最低限の生活費もままならなければ、やはり人の心は荒むよな……。