「Re-born はじまりの一歩」。

Re-born はじまりの一歩

Re-born はじまりの一歩

執筆陣が豪華だったので読んでみた。ん、でもこれといったものはなかった気が…。本のタイトルが「はじまりの一歩」だからして、どの話も「これから始まる」みたいなところで終わりになっているのかもしれん。
以下順番は気に入ったものから。
福田栄一の「あの日の二十メートル」は、お年寄りの心残りに若者が協力するという、とてもベタな話ではあるけれども、この中では一番良かった気がした。何を始めるにも遅すぎることはない、ってこと。
一番目当てだった伊坂幸太郎の「残り全部バケーション」は、父親の浮気によって家族解散に至った一家と、詐欺恐喝の生業から足を洗おうとしている男の奇妙な出会いの話。飄々とした語り口調は伊坂らしかったけど、なんか物足りない。このあとに壮大なストーリーが展開されるとか、ないのか?
瀬尾まいこの「ゴーストライター」は、「戸村飯店〜」の第一章に当たる。この話だけで終わると全然感触が違ってみえるね。
平山瑞穂の「会ったことがない女」は、冒頭の話とその後の話の関連がちっともわからなかったのが、最後にぴったりと符合して感服。
豊島ミホの「瞬間、金色」は、豊島さん定番の痛い少女たちが主人公だが、今回は後味がよい。
宮下奈都の「よろこびの歌」は、音大の付属高校に落ちて投げやりになっている女子高生の話。まあ、可もなく不可もなく。
中島京子の「コワリョーフの鼻」は、唯一笑えるストーリーだけど、回りくどさがちょっとしつこい感じ。