「風花」川上弘美。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04/04
- メディア: 単行本
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この主人公に共感できるかというと全然出来ない。イライラすることばかりだ。夫の浮気を知っても何も出来ない、怒るでも泣くでも呆れるでもなく思考停止状態。いつも緊張して卓哉とまともに会話できない。歳が近い叔父の真人に頼ってばかり、他の人を見て「大人だな〜」とか言っている。
一体この人はこの歳まで何をしてきたのか?
それでどうしたいのか?
そもそもなんで卓哉と結婚したのか?
だからといって見捨てる気にもなれない。なんか次第に応援したくなってしまう不思議。食が細くて生命力が乏しい感じ。ぶりっこで「か弱い女」を演じているわけではないんだよね、彼女は。
そんな彼女が次第に自分の本心に気付き、考え、自分の意思で行動できるようになるまでの2年(ぐらい?)を描いた物語。長くて話進まなくて大変焦れたが、辛抱強くのゆりに付き合って読み進めたらのゆりの心の揺れが身近に感じられるようになっていったし、大変よい作品だったと思う。そもそも夫に浮気されたことのない私は、のゆりの気持ちをキチンと理解することは出来ないのだから、この時間の流れを「遅すぎる」とか「長すぎる」と言ってはいけないんだよね、多分。
最後の「おなか、すいた。」というセリフがとっても印象的。「生きてる」実感がわくね。