「ピンクの神様」魚住直子。

ピンクの神様

ピンクの神様

面白かった。★5
同性の人間関係に悩み揺れる女性を主人公にした短編が7つ。巻末のプロフィールによると、「はじめて児童文学の枠を越え、幅広い読者に向けて発表する小説集」だそうです。私はこの方初読み。
女同士の関係というのは複雑怪奇、男の人にとっては理解できない部分があるかもしれない。でも多くの女性は共感できるんじゃないかと思う。些細なことをきっかけに悩み苦しみ、やがて吹っ切れるまで。どれも結末はさっぱりとした気分になれました。
児童文学出身ということで、子ども達を主役にした話もありまして、「ピンクの神様」は小学生、「魔法の時間」は中学生、残りは大人の女性が主役で、様々な年代の様々な悩みとバラエティーに富んでいるのがよかったですね。

「ピンクの神様」や「ベランダからキス」は、ストレスからイジメやいやがらせに走ってしまう人の話。そういう行為に正当な理由はなく、それぞれ間違いに気付いて猛省するのですが、そのきっかけとなったのはどちらも被害者の人間、ということが心に残りました。どんな状況でも人間として正しくあれば人を救えるのかもしれないなあ。