「医学のたまご」海堂尊。

医学のたまご (ミステリーYA!)

中学1年生の曽根崎薫君が主人公。
「潜在能力試験」で全国１位になった薫君は、特別教育プログラムに選ばれ、東城大学医学部で研究をすることになった。が、そこで悪い大人に利用されとんでもないことに……。ミステリーではなく、医学を題材にしたYAで、少年の成長物語。

補助金を貰うために子どもを利用した恥かしい大人と純真な子どもの対決、の話ですね。おそらく現実にこういう輩がいてモデルにしたんだろうな、と思うとホント恥かしい話。悪いことをする大人が最近多すぎだよ。大人、しっかりしなくっちゃ。
全国1位になったのは、問題を作ったのがゲーム理論の権威であるパパで、作成の際に薫君が試験台になっていたから。初っ端からかなりのズルじゃないですか！まあ、この時点でゴメンナサイをしなかったために罰が当たったともいえるけれど、その場合別の子が犠牲になったわけだから、まあ、これは許すよ。
あと、父と子のメールのやり取りが温かくて。どんなに忙しくとも離れていても、こういう風に心通わすことができればいい世の中になるんじゃないかと思う。
子ども向けだけれど大人が読んでも面白かった。特に既刊の海堂作品とのリンクが満載で、ファンにとってはうれしいね。