「向日葵の咲かない夏」道尾秀介。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

道尾さんの新刊はまだまだ当分読めそうもないので、その代わり兼文庫化記念で読んでみました。


これはすごい!
読了後ショックで頭グルグルになりました。これほど毒があるとは思わなんだ。まだまだ無邪気でいられる年頃であったにもかかわらず、かの様な方法でしか自分を守れなかった少年に対して、読者がいささかの憐憫の情を持つことさえ許さない結末で、どん底に突き落とされた気分。救いなさ過ぎ。

何書いてもネタバレになりそうなので控えめにしておきますが、人間は自分の都合のいいようにしか考えない、ということを前提にしたミスリードの連続だったのですね。読み返すと、そこかしこに心憎い個所があるじゃありませんか。全然気付かなかったよ。本当にすごかった。