「シチュエーションパズルの攻防」竹内真。

竹内さん初めてのミステリーだそうです。
大学入学のために上京、それを機に叔母がママを務める銀座の文壇バーでアルバイトをすることになった了が語り手。そのバー「ミューズ」の常連客で、人気ミステリー作家の辻堂珊瑚朗が安楽椅子探偵となって謎を解決する連作集。
こういうお店には縁がないので想像力がわかなかったけど、お店の女性たちに求められる立ち居振る舞い方が勉強になった気がする。お客様の詮索はしないような言葉の選び方とかね。会話を楽しんで気持ちよく帰ってもらうって難しいな〜ホステスってなかなか大変な職業、考えなしにしゃべっちゃう私には無理。
ミステリーとしては、いまひとつかな。盛り上がりや鮮やかさがないし。それに、了君もミューズのママも、珊瑚朗先生でさえも、最後までどんな人物なのか思い浮かべることができなかった。もちょっとひととなりの説明が欲しかったかも。
それでも、3つ目のお話「ダブルヘッダーの伝説」は良かったです。昔「銀座一いい女」と言われた女性にまつわる伝説の謎を了君が探し回るストーリー。
「銀座一のいい女っていうのは、周りが認めることで価値が生まれる。だからこそいい女ってのは素晴らしい」
「銀座一いい女」さんは確かにいい女だったし、大御所作家2人の彼女に対する気配りにもホロリとさせられました。