「三月の招待状」角田光代。

三月の招待状

三月の招待状

ライターをやっている充留のもとに「離婚パーティ」の招待状が届いたところから物語は始まり…。


大学時代の同級生男女5人が交代で語り手となる短編連作集、というか長編のような。彼らの34〜35歳の1年間を描いているんですが。読み終えてみると別に面白くもないストーリーなのに、何故かガシガシ読めてしまいました。

学生時代から変わらずずっと仲間で、機会あるごとに集まってはワイワイと飲み会をする5人…こう書くととてもよい話のようにみえるけれども、どっこい彼らの場合、変わらないことがマイナスに作用しているとしか思えない。仲がいいようでいて、実は嫉妬や羨望があって、内心では馬鹿にしたりもして。それなのにいつも寄り集まって、他を寄せ付けない雰囲気。15年間変わらず狭い世界の価値観で生きてきた人たち。
あげく、1年間なんやかんややって、結局彼らって何も変わってないじゃないですか?変わろうとする意思を確認したり、変わらないでいることを引き受ける覚悟ができただけでも上出来なのかな。

語り手がチェンジすることによって、見えていた部分と見えていなかった部分があからさまになるのがよかった。長い付き合いでも全て分かり合えるわけではないのは当然なのに、さもわかっている風なことを言い。これが人間なのよね。
何はともあれ。
思ったのは、「友達関係って意外と無責任」ってことかな。