「公園で逢いましょう」三羽省吾。

公園で逢いましょう。

公園で逢いましょう。

これはよかった。三羽省吾さんの本は「厭世フレーバー」以来ですが、これからは新刊出たらちゃんと読もう、と思いました。
通称「ひょうたん公園」に集う子育て中の女性たち。子どもを遊ばせながら世間話をしている風景は、一見ほのぼのと仲良さそうでいて、実はそれぞれにバラバラなことを考えている…。
といってもママたちの陰湿な諍いがテーマではなく、「この人にこんな過去あり」のような、若かりし時の回想がメインで、これがなかなかに、ジワっときた。
誰でも過去はあるのだけれど、どんな過去を持っているかなんて他のママさんたちは知る由もなく、話す義理もなく。当たり前なんだけどね〜。
最初は上っ面だけの付き合いでも、そのうち気の合う友人同士になるかもしれないし、、、そんなのは後にならないとわからないわな。この本の中は現時点の定点観測。


以下メモ。
『春の雨』
ママたちの間では子どもの面倒見がいい、と思われている元保育士ダイちゃんママのお話。小学生の頃一緒に登校していた男の子のことを思い出す。
自分の本質が決して「優しい」わけではないことを知っていて、いつか誰かを傷つけるのが怖がっている人。
いろんな人がいるけど、それがその人の役割、と割り切っている考え方が現実的で好き。
『アカベー』
元国際線キャビンアテンダントの高齢出産サトルくんママ。仕切りたがり、と思われている人。年下のプロサッカー選手と結婚を決めた時のエピソード。
「慈しむこと、受け入れること、そして赦すこと」が愛することなんですね。…ちょっとウルッときた。
『バイ・バイ・ブラックバード
付け入られやすいタイプ、と思われているユウマくんママの話。高校生のとき付き合っていた音楽天才の先輩との危ない思い出。
父親に縛られることを良しとしないあまりに「自由」をはき違え、恋人を傷つけてしまう。…その経験が生かされてか、今は結構世渡り上手かも。人は見かけによらない。
アミカス・キュリエ』
番外編?妻に代わって公園にきた双子のパパのお話。間違われて知らない同窓会に参加してしまって…。
どうせ真実はわからないのだから、いいように解釈したほうが幸せ、嘘っぱちでも誰かが幸せになるんだったらそれでいい。ポジティブシンキング!
『魔法使い』
ヤンキーママ、あかねちゃんのお話。「公園」の意味が他のママたちと違っていて…。これは重い。児童虐待・ネグレスト等の問題を含んでいて、、、読むの辛かったけどこういうことも現実にあるんだろうな…全ての子供が望まれてこの世にいることができますように、と思った。