「天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂」大崎梢。

天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)

天才探偵Sen〈3〉呪いだらけの礼拝堂 (ポプラポケット文庫)

これはよかった。シリーズも3作目になって、雰囲気もだいぶ落ち着いてきた感じがします。子ども向けだけどちゃんとしたミステリー、侮れません。


小学6年生の千くんが住む町の隣にある「聖クルス学園」。略してクロ学。ここでは10年に一度学園祭の時に公開される名画があり、その公開時に悪魔が降臨して不幸なことが起こる、というもっぱらの噂。
学校の怪談系ストーリー、子どもがいかにも好きそうです。いいとこついてます、大崎さん。
しかし、この噂が子どもをきゃーきゃー喜ばせる程度のものではなく、真剣に怖がらせているところがポイントでしょうか。
「悪魔が来て不幸をもたらす」がいつの間にか転じて「今ある不幸は悪魔のせい」…まるで悪徳宗教詐欺のような状況。自分の弱っている部分を不思議現象に押し付けるのは理解しがたいですが、その方が楽だからかしらん。まあ、大人でも騙される人がいるくらいだしなあ…
しかし!
当然千くんが不思議現象を含めスッパと解決。見事でありました。今回は、香奈や信太郎の活躍が少ない分バタバタした部分がなく、じっくり推理して解く千くんの姿が際立っていたように思われました。