「うつくしい人」西加奈子。

うつくしい人

うつくしい人

簡単に説明すると『傷つき疲れて会社を辞めてしまったOLが、気分転換のために離島のリゾートホテルに滞在し、回復する話』。
ホテルは風光明媚な立地、サービスも行き届いてとても素敵。島は海の幸が美味しくって地元の人たちも人懐っこくて温かい。行ってみたいですね。これはどこですか?


しかし、読むのにかなりの忍耐を必要とした本でした。
主人公である蒔田百合は『他人にどう思われているのか』を異常に気にする人物で、仕事を辞めたのもそのため。自分自身のみならず『他人が他人にどう思われているか』までをも気にしている…これでは心休まる時がありません。
多かれ少なかれ誰でも人からよく思われたいでしょう、それでも彼女の危うさに感情移入はできず、過剰な自意識に苛立ちを感じました。出会う人、出会う人に、みっともないとかみすぼらしいとか失礼だとか、あなた一体何様ですか?と思わずにいられない。きっと私なんて、ぼろ糞な評価だろうな〜フッ
旅行期間中にわずかに上向きになったようだけれど、家に帰ったら元の木阿弥なんじゃないかな…心配です。


謎のバーテンダー坂崎と、金髪美青年マティアスがいい感じでした。


で、一番印象に残ったのはあとがきですね。この作品を書いていたときの心境が綴られていて、なんだか妙に納得してしまいました。