「橋をめぐる」橋本紡。

いつかのきみへ、いつかのぼくへ 橋をめぐる

いつかのきみへ、いつかのぼくへ 橋をめぐる

深川近辺を舞台にした短編集。6つのお話はそれぞれに橋の名前がつけられている。
じんわり温かい気持ちになる橋本さんらしいお話ばかりでした。さっすが〜。
しかし、いかんせん風景が思い浮かばないというか、深川らしさが感じられないというか。深川に行ったことがないからなのかな…ぶっちゃけ深川でなくってもいいじゃないか?と思ったのでした。。。ごめんなさい。
以下、お気に入りをメモ。
清洲橋』広告会社勤務の友香。近くであった仕事の帰り久しぶりに実家に立ち寄ることに…。
娘を心配するあまり(と思いたい)横暴だった父親と決別していたけれど、そんな父もいつの間にか老いて病床に…というストーリーでして、こういう「年老いた親」の話に私は弱いのだ。ウチの親も見るからに年寄りになってしまって、ま、今はまだ元気なのだけれど、いずれは…などと思ってしまうこの頃。
『亥之堀橋』銀座のバーテンダーだった主人公、今は妻の実家の深川で小さな店を持つ…。
相手の気持ちを読むのが上手い〜こういうマスターのいる店でシミジミ呑んでみたいな。
永代橋』世田谷で暮らすのに一生懸命過ぎてすれ違ってしまった両親。小学生の千恵は夏休みを深川の祖父の家で過ごすことに…。
これはいかにも深川っぽいのかな?引退してすっかり控えめで寂しげな爺さんだったのが、ラストは茶目っ気たっぷり、力強く感じられたのが良かった。