「僕と『彼女』の首なし死体」白石かおる。

僕と『彼女』の首なし死体

僕と『彼女』の首なし死体

第29回(2009年)横溝正史賞優秀賞受賞作品。(大賞は「雪冤」)
主人公の白石かおるくんは、大手商社四菱商事勤務の普通のサラリーマン。そのごく普通のサラリーマンくんが、出勤途中、ハチ公像の足元に『彼女』の生首を置く、ところから始まる。


面白かった。
始まりは衝撃的だけどホラーではなく、まあミステリーっぽい?みたいな。ネタバレしそうなのでストーリーを書くのは控えよう。
かおるくんのキャラクターがとても良かった。自分の思うところに依って彼は行動し、たとえ社会的信頼などそれまで築いてきたものを瞬時に失くすことになったとしても全くぶれない。揺れない。論理的な思考力を持ち他者に優しい。清々しくってカッコイイ。その点北村薫の選評に同意だ。彼という人物がこの作品の魅力なのだ。


しかし、読書メーターの皆様の感想を見たらビックリ仰天、批判がほとんどじゃあーりませんか。なんで?とつらつらと読みましたら、どうやらこの作品のノリはラノベらしい…たしかに横溝正史って感じではないけれどもさあ。