「薬屋のタバサ」東直子。

薬屋のタバサ

薬屋のタバサ

すっかり記憶をなくしていて、気付いたらこの町に来ていた女。薬屋のタバサの家に住むことになる…。


タバサの家に身を寄せ、店で働きつつ町の人と交流、タバサとも良好な関係になって、つかの間幸せになったかのように錯覚してしまうけれど。。。
主人公が初めてタバサが調合した薬を飲むシーンでは「飲んでは駄目だ」と心の中で祈っていた私。この町に留まっていてはいけない、と思う漠然とした不安感が終始絶えなかったです。
最終的に非常に難解な結末を迎えるこのストーリーは、いったいなんだったのか。考えるに、現実から目をそらして、結果堂々巡りの人生の迷路に迷い込んでしまった、ということかな。


この作家さんは歌人出身だそうで、美しい言葉の使い方は素敵でした。が、読了後に危険領域に連れ込まれそうな感覚は、ちょっと微妙かも。すっきり終わってくれないとイヤ、とかではないんだけれど。