「芙蓉千里」須賀しのぶ。

芙蓉千里

芙蓉千里

明治40年、角兵衛獅子の親方に捨てられ身寄りがなくなった12歳のフミは、吉原の花魁だった母のようになることを目指して自ら進んで身売りされ、哈爾濱の女郎屋「酔芙蓉」にやってきた。ひとりの少女が自分の夢をかなえるため奮闘する「ガールズ大河小説」。
お金も教養も身分もないけど、知恵とやる気で賢く立ち回る少女が生き生きとして実に爽やか。二人の男性の間で揺れ動く女心もプラスされていて、なかなかに面白い作品でした。
苦労を背負った女郎仲間が次々に不幸に飲み込まれていく悲しい場面もあり、振り返れば、苦界を苦界と思わないフミは異質。いまどきの女の子はこういうヒロインが好きなんだろうな〜恋より仕事、意思の強い女の子。消えていったお姉さま方の儚い人生もまた美しく切なかったです。
続編もあるらしいので楽しみに待ちます。恋の決着もあるのかな…?私的には、何やってるのかわからん素性の怪しい山村さんより、暗い過去を背負うお金持ちの黒谷さんが好きよ。