「午前零時のサンドリヨン」相沢沙呼。

午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン

第十九回鮎川哲也賞受賞作。
ミステリー好きの男子高校生須川君は、入学早々無口で誰とも群れない雰囲気のある黒髪の乙女、酉野初にひとめぼれ。ある日、姉に無理矢理連れて行かれたレストランバーで、初が華麗にマジックを披露していたのを見て、接近を試みるが…。


全4編の連作短編集で、トータルの謎解きを最後に、という作り。日常の謎プラス青春もの。とても読みやすくて新人さんなのに書きなれてるような感じ。最後までサクサク読めました。
校内の不思議な出来事を須川君が拾ってきて、ヒロインの初がマジックを絡めて見事に解決するパターンなのですが、ヒロインを含めた登場人物の全女子が等しく傷ついており、私的にはややウンザリ。特に女同士のイザコザ(語弊があるかもしれません)は、特に苦手でした。認められたいとか、偽善だとかで悩む普遍のお年頃だからこうしたのか、作者さんも悩んでいる最中なのか。読み手が同年代女子なら、共感するのかもしれませんが、私には「旬」ではなかったです、ハイ。選評に「コレぐらい悩ませておけばいいんじゃないか」ってのはもしかするとそういうこと?とか思ったり。一方で、主人公須川君の扱いがぞんざい過ぎる。男の子も繊細にお願いしたい。
しかし、1作目でこれだけ互いのドロドロを出し切っちゃってれば、同じ面子のシリーズ2作目を作るとすれば、明るく楽しいラブコメミステリーにでいけるんじゃないか?初をツンデレ全開で、須川君を賢く立ち回せれば面白いと思いますがどうでしょう?