「オルゴォル」朱川湊人。

オルゴォル

オルゴォル

10歳のハヤト少年は、同じ団地に住むトンダじいさんから「鹿児島に届けて欲しい」とオルゴールを預かった。旅費にもらった2万円に目がくらんで…。


超真っ当ないい話だった。黒もいいけど、こういう朱川さんもいい。新聞連載だから、誰が読んでも感動するように書いたのかもしれないねえ。
最初のうち、ハヤトがあまりに憎たらしい子でイライラ。どうやら母親のヒトミさんに上手く立ち回ることができる人間が勝ち組、と刷り込まれてるらしいのがわかり、不快感で悶々になった。給食費を払わないで済ませるのが賢い人間なのか?新聞連載で出だしがこうだと、毎日読み続けるのが苦痛だったんじゃないだろうか。
しかし、160ページが経過したあたりから急展開。
旅に出たハヤト少年は猛スピードでいい子になっていくのだった。可愛い子には旅をさせよ、のベタな展開、でも泣けた。やっぱ、人間、外の飯を食うべきだな、とカナタさんはシミジミ思ったのだった。
たった数日で思考が激変する都合のいい話ではあるけど、小説なら基本だしわかりやすくてよいね。