「なぎなた」倉知淳。

なぎなた (倉知淳作品集)

なぎなた (倉知淳作品集)

倉知さんの短編集。粒ぞろいで大変面白うございました。でも一番は長めのあとがきかな。購入せず図書館から借りて読んだ人には災いが降りかかるのでしょうか、心配です(笑)。
以下メモ。
「運命の銀輪」若い女性に人気の小説家は二人で共同執筆していたが、その一方が他方を殺害。完全犯罪を装ったが…。
倒叙ミステリ。最後の怒涛の攻めが気持ちよかった。シリーズ化に期待。
「見られていたもの」深夜に男二人がもみ合うのを目撃し、警察に通報したけれど…。
本格ミステリの基本中の基本のパターン、他でも見かけたことはあるけれど、毎度毎度理解するのに時間がかかって困ります。
「眠り猫、眠れ」飼い猫のモトノラが死にそうな時、父親が刺殺されたと聞かされて…。
切ないラスト。私も猫は好きだけど「ねこちゃん」よりも「ねこちやん」のほうがが可愛いってのはわからん。猫じゃないもののように見えなくない?
「ナイフの三」夜のコンビニに集っていた若者たちが、誘拐犯を見かけて…。
そこまで心配して策を練るなんて、なんて自意識過剰なオチ。このチームは雰囲気が良くって、シリーズ化を頓挫させたのはもったいない。
「猫と死の街」飼い猫のピラフが行方不明になって探していたら「自分が殺した」と名乗り出た男がいて…。
自分ちに勝手に入ってきた猫をどうにかすると犯罪、でいいのか?よほどの田舎じゃない限り怖くて外に出せないわな。
「闇ニ笑フ」映画館で働く青年。グロテスクな映像が流れるシーンを笑顔で観る美女を発見して…。
これ、途中でわかっちゃったけど、一番のお気に入り。
「幻の銃弾」大統領選の最中、群集の中で銃声がして男が倒れ、パニックに…。
ジョークの数々が「いかにも」でセンスいい。