「呼んでみただけ」安東みきえ。

呼んでみただけ

呼んでみただけ

物語を創作するのが好きなママと6歳の息子遊太。仕事が忙しいパパと猫のイオ。ママの作った7つのお話と親子の会話、かけがえのない時間が緩やかに過ぎ去っていく素敵な作品。
遊太少年が天使のように可愛い。子供はあっという間に大きくなってしまって、可愛らしい季節はほんの一瞬だからこそ大切なのに、実際その季節の只中にあるときはいかに貴重な瞬間か気付かないものです。ウチの子も今となってはすっかり男臭くなってしまいましたが、遊太少年のようなときは確かにあったんだな…と思い返してみたり。

「ねえママ」
「なあに?」
「ううん、なんでもない。呼んでみただけ」

胸がキュンキュンしてしまいました。パパだって負けてないよ〜。明日が不安で眠れない遊太のセリフ。

たとえ地球がどうにかなろうとしたってだいじょうぶ。パパがいるからだいじょうぶ。

ママが作ったお話は切なくてちょっぴり怖い。どれも◎。一個ずつバラで絵本にしたらいいのに。クラゲがともだちのほうき星を待ち続けるお話はジーンときた。王女様とイチゴのショートケーキのお話は怖さ半分。
一番のお気に入りはへそまがりの魔女。呪いをかけることしか出来ない魔女が、王子誕生のお祝いのためにかけた渾身の呪いが…!とってもいいお話でした。