「アリアドネの弾丸」海堂尊。
- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2010/09/10
- メディア: 単行本
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海堂さんの作品は全部どこかしらつながっているけれど、この作品はチームバチスタシリーズの本流と言えましょう。そして今回は久々に、ミステリー含みの白鳥大活躍、とまるで1作目の再来のごとき展開、死因解明の主導は医療なのか、司法なのか。双方の争いに手に汗握りました。大変面白かったです。次回作への布石も十分、続きが楽しみ。
で、いつものごとくエーアイ(autopsy imaging 死亡時画像診断)の啓蒙もてんこ盛り。MRIの仕組みから司法解剖の限界、エーアイも万能ではないこと、等々懇切丁寧でとてもよくわかりました。事件が見過ごされ、自然死と判断されることもあるのか…しかし一般人としては警察の人に「事件性はない」と言われたらそれまでだし、どうしたらいいのかわからないよねえ。
本作品では、都合上(だと思うけど)警察があまりにも悪者になってしまい、現職の警察関係者さんにはちょっと気の毒でした。そんな中、玉村さんの「正義の味方」発言が印象的。医療も司法も自分らの利益を追うのはやめて、みんなの益を求め向上して欲しいもんです。