「アリアドネの弾丸」海堂尊。

アリアドネの弾丸

アリアドネの弾丸

桜宮にエーアイセンターを創設するにあたって各方面の思惑が錯綜し、センター長は全くの門外漢である田口に決定。エーアイの知識を学ぼうとしていた矢先、メーカーの技術者が亡くなった。挙句、副センター長が銃殺される事件が…。

海堂さんの作品は全部どこかしらつながっているけれど、この作品はチームバチスタシリーズの本流と言えましょう。そして今回は久々に、ミステリー含みの白鳥大活躍、とまるで1作目の再来のごとき展開、死因解明の主導は医療なのか、司法なのか。双方の争いに手に汗握りました。大変面白かったです。次回作への布石も十分、続きが楽しみ。
で、いつものごとくエーアイ(autopsy imaging 死亡時画像診断)の啓蒙もてんこ盛り。MRIの仕組みから司法解剖の限界、エーアイも万能ではないこと、等々懇切丁寧でとてもよくわかりました。事件が見過ごされ、自然死と判断されることもあるのか…しかし一般人としては警察の人に「事件性はない」と言われたらそれまでだし、どうしたらいいのかわからないよねえ。
本作品では、都合上(だと思うけど)警察があまりにも悪者になってしまい、現職の警察関係者さんにはちょっと気の毒でした。そんな中、玉村さんの「正義の味方」発言が印象的。医療も司法も自分らの利益を追うのはやめて、みんなの益を求め向上して欲しいもんです。