「だれかの木琴」井上荒野。

だれかの木琴

だれかの木琴

アンソロジーの短編以外では超久しぶりの井上作品。5年ぶり?
怖かった。もう一度読もうとは思いません。
平穏で幸せな暮らしをおくっていた普通の主婦が、普通の枠から自らはみ出し変質者的な異常行為にはしってしまうお話。主人公の主婦目線の描写が中心になっていて、一見筋が通っている言い訳で異常の度合いが曖昧にされて、途中までは主婦を擁護する気持ちにさせられていた。
何が不満か、何が足りないのか。さびしいのか。そういう自分でもよくわからない感情が積もり積もって変化を求める行動なのかな、、、と。
気づくとドツボに。
ごく普通の人間でも、紙一重で普通の枠から外れることもあるのかもしれない、と思うと怖かった。
最後も全然救いなし。ぞくぞくして面白かったけど、疲れた。