「長い廊下のある家」有栖川有栖。

長い廊下がある家

長い廊下がある家

火村シリーズの短編集。今回も楽しく読めました。
表題作はホラーかと思いきやさにあらず、トリックは意外と単純、でも騙された。
「雪と金婚式」これってミステリーじゃないよね。老夫婦が素敵に歳を重ねていらして気持ちがよかったな。
「天空の眼」有栖がひとりで大活躍するお話。とっさに心霊写真だと言えた彼の機転に感心しました。
「ロジカル・デスゲーム」は、火村のとった行動も「なるほど!」だったけれども、確率の説明が眼から鱗でビックリ。

「私たちが星座を盗んだ理由」北山猛邦。

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社ノベルス)

ミステリー、短編集。面白かった!どれも衝撃のラスト、ブラックな方向がたまらなく快感でした。
「恋煩い」占いにはまってしまう女の子のお話と見せかけといて……、ラストの一文が忘れられそうもないぐらい怖かった。確実性がないからこそ悪意の度合いが大きいような気が。
「妖精の学校」最初から最後まで学園ファンタジー。で、最後の一行に謎の数字の羅列。一見してでは何かわからなくってググると……。理解するのに時間がかかりましたが、わかって読み返すと恐ろしい実態。こういう仕掛けもよいね。
「嘘つき紳士」落ちていた携帯を拾った男がメールを使ってオレオレ詐欺を謀るお話。ま、なんちゅうか、恋する女はしたたか。
「終の童話」ファンタジーテイストのこれが一番お気に入り。石像にされてしまった人たちを元に戻す、と、いかにも童話的展開でありながら、元に戻る状態がシビアで残酷。ラストは読者が決めるんだね、私は杖。
「私たちが星座を盗んだ理由」表題作でありながら、一番普通だったかな。あまり衝撃的ではなかった。盗んだ方法は、なんだかなー、って感じ、盗んだ理由がわかったときは、ちょっとウルウル。

「黄金の王 白銀の王」沢村凛。

黄金の王 白銀の王

黄金の王 白銀の王

ずいぶん前から読みたいな〜と思っていたら文庫になったのをみかけた。ので、図書館から借りてきた単行本。
架空の国「翠」は、王族の血統を巡って争い、鳳穐と旺廈の対立が続いていた。国の行く末を案じた若き鳳穐の頭領がかつてない挑戦をする…。
為すべきことを為し続けること。目先の憎しみに囚われず大局を見る真の指導者たるべく困難な道を選んだ二人の王の姿がすさまじく美しかった。読みごたえあった。表紙はファンタジーっぽいけど、中身は大陸系大河小説ふうだったかな。
相手を根絶やしにしなければ平安は訪れないと思い込む人たちに、私はガンダムをイメージww

殺されたから殺して、殺したから殺されて、 それでほんとに最後は平和になるのかよ!

カガリの名台詞。あと、アスランのとーちゃんの取り憑かれたかのような顔が思い出されました。