残虐記

残虐記

書店のレヴュー
自分は25年前の少女誘拐監禁事件の被害者である、と書き残して、作家が失踪してしまう・・・。この小説は、複雑な構造をしている。小説の中の現実世界・作家が残したフィクションらしい手記・作家のデビュー作「泥のごとく」。私たちが読むのは、それらをひっくるめた「残虐記」になるのだが、読み終わったときに、小説の中でのフィクション・ノンフィクションの境界が曖昧になる不思議な感覚がした。人の想像力に溢れる視線が恐ろしい。事件の被害者は、事件解決後も、損なわれたものを取り戻せないのだろうか?悲しい。04/06/27★★