家守綺譚

家守綺譚

書店のレヴュー

「精神労働者」として細々と物書きをしている綿貫が、亡くなった友人の家を守り生活する様を書き綴った短編連作。個々に植物名が付けられていて、登場するのは河童・龍・子鬼など異形の者と死んだはずの友人高堂など。穏やかな民話のような、御伽噺のような雰囲気で、此方と彼方が混じりながら話が進められていく。お気に入りは「ふきのとう」と「セツブンソウ」。最終話「葡萄」で綿貫の決意のようなものが見えて、漠然とした話がスッキリまとまった感じがした。梨木さんが煮詰まった時に書いているそうですから、ファンとして続編を希望しない方がいいのかな〜?でも「希望」。04/07/01 ★★★★★