書店って、450文字までしか書けないんだ。今まで気づかなかった。
結婚のアマチュア (文春文庫) アン・タイラー「結婚のアマチュア」。
結婚のアマチュアって何だ?じゃ、プロは何回も結婚してる人のことか?と、思うことは誰でも同じみたいで、似たようなことを解説の人が書いていた。
この本は、ある夫婦の60年を描いた、とっても現実味にあふれたもの。喧嘩して別れたけど仲直りして幸せに暮らしましたとさ、とはいかない、最後は幸せだったのか、それは本人たちしかわからない。
人の性格というのは、いい所と悪い所が表裏。この夫婦がよい見本。
夫のマイケルは真面目で几帳面で冷静沈着。悪く言えば堅物でケチで冷たい。
妻のポーリーンは大らかで感情豊か、悪く言えば無神経でヒステリック。
中盤までは非常にイライラ。とにかくこの夫婦は喧嘩ばかり。互いに不平不満ぶちまけて、もうそんなにいやならさっさと別れればいいのに。何度もそんな気にさせられる。
必然的に「あなたならどっちを応援しますか?」と考えさせられますね。途中経過では私は断然マイケルさん。とにかく、ポーリーンうるさ過ぎ。ちょっと黙れ。
まあ、マイケルさんにも非常によろしくない点は多々ある。特に世間の目を気にしすぎるところとか。気が弱そうなところとか。
と、そんなこんなしながらも持ちこたえて30年が過ぎ(本でもちょうど半分あたり)、30年目の結婚記念日の章となったところで、何と二人は、あっさりと離婚してしまうのでした。ああ、やっとすっきり。ポーリーンのギャーギャーした声とはおさらば、よかったねマイケル。
んじゃ、残りの半分は何の話なの?と読み続け。
さてさて離婚しても時間はどんどんと過ぎ、後の30年が後半の話。前半では「とっとと別れろ!」と怒っていた私でしたが、あら不思議、後半を読み進めるにつれ「離婚しなければよかったの?」と徐々に思い始めたのでした。何故?
思うに、別れたおかげで互いに客観的に見ることが出来るようになったからなのね。あまりに本人たちが「相性が悪い」というから、それはどうにも揺るがない原因だと思い込まされていた。でも違うんだな。
・・・そんなわけで、とても面白うございました。パールハーバーから世界貿易センタービルのテロまで、アメリカの時代背景と共に楽しめました。キッチンの様子なんかも、ホームドラマみたい。シリアルと缶詰と、オーブンにポイ!みたいなアメリカンな食卓とか。
ウチは、離婚はないと思うよ。きっと、多分、おそらく。・・・もし別れたら、笑いのネタになりそう。まあ人生山あり谷ありですが、ちょっとの努力で長続き、、、だよね。

書店のレヴュー

ある夫婦の60年の物語。結婚って何なのだろう。読み終わっての一番の感想はそれだった。◆主人公のマイケルとポーリーンは1941年12月に出会う。マイケルが軍隊から帰るのを待って結婚した二人だったが、その当初から喧嘩の連続。それでも子ども3人を育て、30年がたった結婚記念日に決定的な出来事が起きてしまう。◆ストーリーは二人の60年のエピソードを辿っていく。この「結婚」は正しかったのか。読者にそう問いかけるように。子どもや孫まで、この夫婦について語っていく。◆人生は思う通りには行かぬもの。夫婦と言えども所詮は他人。全て分かり合える夫婦は理想かもしれないが、目指したところで結局は幻想に過ぎない。それは当然のこと。このお話の夫婦は決して特別ではない。ごくありふれたリアルな夫婦であり、それだけに何度もハッとさせられる瞬間があった。いかにして結婚のプロになるか。この本にその答えが隠されているような気がした。既婚者のかたに読んで頂きたい。05/11/15★★★