「りかさん」梨木香歩。

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

自前の本で再読です。前に読んだのが2005年4月、そのときに「文庫を読まねば」と言っていたのが、結局2年以上も放置。
「からくりからくさ」の続編、と言いましょうか、時系列的には「りかさん」が子ども時代の話だから、こっちが前っちゃ〜前なんだけど。発売順だと「からくりからくさ」が先。それが作者の意向なのかもしれない。
単行本の方は児童書扱いだったかと。でも内容は難しめだし、文庫版には「からくり〜」のその後の話「ミケルの庭」が収録されていて、大人の読み物、という気がします。
さて、そんなわけでの「からくり〜」を読んでからの再読ですよ。
正に唐草のような人の因果が印象に残りました。アビゲイルがマーガレットにこういう風につながっていたんだな。あと、差別の話も。「なんて、かわいい、とまず思うのさ。」この考え方は梨木さんのどの作品にも共通。
「ミケルの庭」は、紀久がつらい。どうか幸せになって。

書店のレヴュー

雛祭りのお祝いに、とおばあちゃんから送られてきたのは、りかちゃん人形ではなく、市松人形のりかさんだった。◆りかさんのお世話をするうちに最初の落胆から一変、りかさんと心が通い合い会話する事が出来るようになっていくヨウコ。りかさんだけでなく他の人形たちの持つ思いまでも感じ、人形の持ち主だった人々の喜び・悲しみに触れ合っていく。おばあちゃん曰く「人形のほんとうの使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとことん整理してあげること」。◆「からくりからくさ」の蓉子の子ども時代、りかさんと初めて出会ったときのエピソード。同時収録の「ミケルの庭」は「からくりからくさ」の後日譚。紀久が人の業について思い悩む場面が秀逸。05/04/24
★★★★