「妙なる技の乙女たち」小川一水。

妙なる技の乙女たち

妙なる技の乙女たち

2050年人類初の軌道エレベーターが建設されたシンガポール沖のリンガ島。そこで働く女性たちの物語。
読んでみればSF色は薄く、普通のキャリアウーマンの話だった。華麗に宇宙ならではの仕事に携わる人間ではなく、周辺にいる人たちばかりを取り上げているからかもしれないし、あまり遠くない未来が舞台だからかもしれない。
工業デザイナー、不動産業、水上タクシー、保育士等々。当然のことながら、人が集まれば様々な業種の人が必要とされるわけなんだけど、着眼点が目新しくって感心した。
みんな潔くって誠実で、気持ちのよい話だったよ。でもなんで女にこだわったのかなあ。男だったら当たり前だからなのかな。
お気に入りは、
「セハット・デイケア保育日誌」
この話の主人公だけは、キャリアアップとか全然考えていなくって、南の島でのんびり保育士やっていくのも悪くないな〜と思っているところが、なんかほのぼの。
「the Lifestyles Of Human-beings At Space」
宇宙開発の中心を担う大企業に勤める普通の事務職の女性が、素人の目で見た疑問点を突き詰めた結果、大きなチャンスをつかむストーリー。
これを最後にあるのはよかったかも。新しい明るい未来が開けた感じで、読後感がぐっとよくなった気がする。