「時砂の王」小川一水。

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

前に読んだ「妙なる技の乙女たち」が面白かったので、評判がよかったこれも読んでみたのだった。


A.D.2598、人類はET(エネミー・オブ・テラ)の襲撃を受け絶滅の危機を迎えている。敵は増殖型の戦闘機械で目的は不明、交渉が一切できない。ETが時間遡行を行ったことを受け、人型人工知性体たち(メッセンジャー)が過去の人類に危機を知らせるために旅立つ。


過去を変えると未来も変わってしまう、という原則はおなじみだけど、この話では、過去を変えるとそこが分岐点となり、別の未来が作られる、という設定になっている。まるで大樹の枝のように。従って過去の人類を救っても自分たちの元の未来が平和になるわけではないのだが、自分たちの枝が枯れてしまっても(ETの襲撃で絶滅してしまっても)、他の枝を伸ばし大樹が(人類が)生き延びる可能性のために彼らは戦い続ける。
ストーリーは人類側として戦うメッセンジャーの連敗、ETはどんどん時代を遡っていき、結果邪馬台国が最終防衛ラインとなり、卑弥呼とロマンスもあったりとてんこ盛りの内容。


面白かったかと言われればそうなんだけど…なんとも空しい。人一人なんて小さい、私は分岐点になれない、ここにいる意味、生きる意味ってなんだろうね〜などと哲学してしまいました。
それだけ印象に残ったってことなんだろうね。。。