「新世界より(上)(下)」貴志祐介。

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

第29回日本SF大賞受賞作。上下巻で千ページ越の大作、読み終わりました。
今から千年後の日本、大きな戦争があり科学文明は滅び、生き残った人類が集まって理想郷を築いて平和に暮らしていた…


何といってもこの世界観を構築したことが素晴らしいと思います。人間が進化の過程で呪力(超能力。サイコキネシス的なものに限られているようです)を得、日常的に使用している世界。そこに至るまでの悲惨な歴史、生態系等々。
ストーリーは主人公の女性が、さらに未来の人類のために真実を書き残す手記のような形式で、最初は曖昧だったものが後半になるにしたがって明らかになっていく…頑張って最後まで読めてよかった。

感想。
人間は存在そのものが罪なのではないか、と感じられてしかたがない。人は怖い。
人は支配欲にとりつかれ常に上位であることを求め、そのために異なるものと判断した対象は徹底的に排除し、真実を隠蔽し、情報や記憶を操作し、まやかしのユートピアを作る…というのがそのまま現代社会にも当てはまるのではないか。
人は変われるかって?変われないんじゃないかな。。。