「黒百合」多島斗志之。

黒百合

黒百合

1952年夏、六甲山の避暑地で、14歳の進と一彦が香と出会う、ひと夏の甘酸っぱいストーリー。 ボーイズ・ミーツ・ガール…淡い初恋の思い出。自然の美しさとノスタルジックな雰囲気が抜群の純文学。プラス阪急電鉄の歴史もよくわかったり。これだけでも充分満足でした。
が。それだけでは終わらず。
合間に挟まれる怪しげな章、昭和10年のベルリン、終戦の年の殺人、そして昭和27年の殺人。殺したのは、さあ一体誰でしょう?
…答えは当然書けませんが。口があんぐり状態でした。
ホント騙されちゃったよ〜チクショー、上手すぎるぜ。○○○○が『○○○』である意味が最後の最後までわからなかったし。○○の○○ってなんだったのさあ?読み返すと思わず「ああああぁ…」と感じるところだ随所にあって感心感心。
『文芸とミステリの融合を果たした傑作長編』だそうで、全くその通りでございました。